reportマイスターの研究レポート

簡易施工店での施工?

いわゆる専門店と簡易施工店との違いはなんなのでしょうか?

 

実際のところはっきりした明確な線引きはありません。

 

単純に言ってしまえばきちんとした設備を持ち、正しい方法で施工し、十分な知識と技術を持った者が施工しているところが専門店といえるのでしょう。

 

逆に出張専門や完全なクロース度スペースを持たなかったり、施工方法も簡易的であったり、数日の講習を受けただけで知識と技術と経験が不足しているところが簡易施工店という枠に入るのでしょう。

 

では簡易施工店とは具体的にどのような店舗がその枠に入るのか?

すべてが当てはまるとも言い切れませんが、

  1. GSなど(キーパープロ含む)。
  2. 修理工場や板金工場(中には専門的なところもあり)。
  3. ディーラー(内製の場合)。
  4. 快洗隊や洗車王国などの洗車専門店。
  5. フランチャイズグループに属している(カービューティープロやダイワミラクルなど)。

大体こんなところではないでしょうか。

ただし2と5に関しては専門店といえるようなこだわりのお店もあります。

 

では専門店とは?

  1. カーディティーリング専門で磨きとコーティングを主業務としている。
  2. 専任の施工者を置き、アルバイトではなく社員が施工を行っている。
  3. 完全なクローズドスペースを持ち空調・焼き付け機材が設備されている。
  4. フランチャイズグループに属している。

ただし、4に関してはたとえばケミカルメーカー系などに加盟していたとしても、磨きに関しては簡易的な技術指導しかなく、料金体系や磨きの施工内容に対しての縛りはありませんので、加盟店によりかなりのレベル差が存在します。

これはほとんどのフランチャイズグループに共通することで、逆に簡易施工店側に挙げているキーパープロやカービューティープロ・ダイワミラクルなどでも専門店といえるレベルの店舗も少ないですが存在します。

 

余計わかりにくくなってしまいましたかね!

 

これ以外の判断材料としては、

  1. ガラスコーティングを施工して5万円程度の価格。
  2. 施工期間が1~2日程度。

これは完全に簡易施工店といえるでしょう。

 

本題は簡易施工店で施工することの是非です!

 

これは一概に否定することはできません。

ありだと思います!

ただしお客様が何をどこまで求めているかによりますが・・・

 

たとえばコーティングの機能としての短期的効果だけを望むのならばこれはありだと思います。

新車でとりあえず新しいうちだけは塗装をコーティングで保護したいこれもありですね。

予算的にこの程度が限界というのもありでしょう。

 

しかしこのような理由で選ばれた中で、

磨きのクオリティーやコーティングの耐久性などを望むの意は無理な話です。

意匠性的には現状がキープされていることで納得する必要があります。

 

というのは上にも書いた5万円・施工期間1~2日というところをよく考えてみてください。

この内容ではできることに限りがあります。

ではこの中で何ができるのか?

 

洗車=30分

鉄粉落し=1時間

マスキング=1~2時間

磨き=半日

脱脂・コーティング=半日

車内清掃=1時間

コーティングブランク(効果促進時間)=8時間

これがきちんとした作業と材料での最低限の作業工程ですが、

すでにこの段階で1日は完全にありえず、2日でもコーティングのブランクはとることができません。

 

そうなるとどこかを省かなければならなくなります。

考えられるのは鉄粉落し・磨き・脱脂・コーティングブランクこれらを行わないかもしくは非常に簡易的な方法となってきます。

 

鉄粉落し。

  1. 行わない。
  2. 鉄粉クリーナーで行う。

どちらかになるでしょう。

行わなかった場合は

新車ではそれほど問題は無いでしょうが、使用過程車の場合事実上磨きを行うことは無理、仮に行えば咬み込んでいる鉄粉をバフが掻き出しバフに咬み込んで磨きますから、鉄粉で傷を入れていくこととなります。

その傷が見える見えないにかかわらず施工前よりは明らかに状態は悪化しています。

鉄粉クリーナーで行う場合は磨きは可能ですが、車種により使用している樹脂やゴムの材質が違うため、それに合わせてクリーナーを選択していくだけの知識が必要となります。

 

磨き。

半日でできる磨きは非常に限られてきます。

通常4ドアセダンなどは13パネルと考えられます。

となると半日を4時間として13パネルで割ると、1パネル18分ということになりますが、この時間でできる磨きはとても傷を処理している時間はありませんから、仕上げ用コンパウンドとバフによる舐めただけの様な磨きしかできませんから、

塗装自体の意匠性が変わるレベルはとても期待できません。

あくまでも磨いているとしての話ですが・・・

 

脱脂・コーティング。

ここも半日しかありませんから、手のかかることをしている時間はありません。

脱脂に関してはとても洗車による脱脂の工程時間はありませんので、アルコールによるコンパウンド油脂の拭き取りがいいところでしょう。

場合によっては脱脂自体が行われない可能性も高いかも知れません。

どち らにしても完全に油脂は脱脂されませんから、

この後施工するコーティングの密着や硬化を阻害する要因となります。

コーティングも脱脂と合わせて半日で処理できる商品となると成分・性能的にはそれほど高性能・高耐久なものは期待できないでしょう。

高純度=高耐久ですが=施工は難しく時間もかかります。

 

コーティングブランク。

シリカコーティングもしくはガラスコーティングといわれるものには大きく分けて2種類のコーティング剤が存在します。

一つは無機シリカコーティング、これは成膜状態ではほぼ石英ガラスのみの純粋な被膜となりますが、

硬化速度が遅く大気中の水蒸気と反応を起こしながら徐々に成膜硬化をしていきます。

大体8時間くらいの時間は必要となりその間に必要以上の水分が吸着すると硬化反応速度に狂いが生じるために白濁などの恐れがあります。

ただし中には遠赤外線ヒーターなどを使い効果促進することで2時間程度で初期硬化を終了できるコーティング剤もあります。

もう一つは有機系シリカコーティングですが、これはちょっと表現方法がややっこしくガラス繊維・ポリ樹脂・セルロース樹脂など有機物などを伴った成膜であっても成分の中に石英ガラスが入っていることから、

無機系シリカコーティングもしくは無機シリカコーティングと謳われているコーティング剤も数多く存在しています。

これらの物は当然有機物成分濃度が高いため硬化反応速度も速く、ブランクを必要とする時間も短くて済み、特にフッ素撥水になっているような場合にはブランクが必要ない様な商品もあります。

ただし有機物濃度が高いということは、

酸や紫外線などに対しての耐久性は低く剥離や艶びけの恐れも高くなります。

ただし有機物が多くあればあるほど脱脂をせずに油脂が残っていてもはじかれたり成膜疎外の影響を受けにくくなります。

 

以上が簡易施工価格が安かったり、施工時間が短期で終了できる理由となります。

 

しかしこれはこれで否定することではなく、価格と施工内容とのバランスは取れています。

しかしここに必要以上の意匠性やコーティングの性能を求めてしまうと其れはそもそも無理な話となってしまいます。

 

たまにお客様からこのような御問い合わせをいただきます。

「コーティングをしてもらったのだけれども全然艶がない、これってクレームになりますか?」

「磨きもコーティング前に行いますといっていたのに全く傷が取れていない!」

「磨きでポリッシャー傷のようなもいのが見えるのですが?」

「コーテイング施工して半年しかたっていないのにもう撥水しないのですが?」

このような御問い合わせに対して必ず、

「施工費はおいくらでした?」

とお聞きしていますが、ほぼすべてのお答は5万円以下施行期間は2日以内です。

これこの状態で当たり前です!

期待しすぎですし、これでクレームでは施工店もたまったものではありません。

ただしこのようなデメリットが存在することを仕事を取りたいがためにお客様にご説明していないことも大きなクレームの理由ですが・・・

 

 

簡易施工は簡易施工なりのメリット・デメリットがあることをご承知の上でご依頼なさることが肝要です!


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